<社説>民法と性差別 時代に即し法改正急げ

 家族の形は時代とともに変化を遂げてきた。それを時代遅れの法律のたがにはめようとすれば、おのずと混乱が生じる。時代に見合う法律を整備しなければならない。

 夫婦別姓を禁じ、女性の再婚禁止期間を設けている民法について、最高裁が初の憲法判断を示す見通しとなった。いずれも明治時代の規定であり、時代に合わない性差別だと指摘されてきた。
 民法は結婚した男女が同じ姓を名乗り、離婚した女性は6カ月経過しなければ再婚できないと規定している。再婚禁止は子どもの父親を推定する際の混乱を防ぐ目的がある。
 女性の社会参加が進み、結婚後も仕事を続けることが一般的となった中で、夫婦別姓に対する理解は定着しつつあるといえる。別姓を選択するため、あえて結婚という形態を取らない人もいる。民法の規定が別姓を許さないからだ。
 再婚禁止期間も時代遅れとの批判は根強い。高い精度で血縁関係の有無を明らかにすることができるDNA鑑定を誰でも利用できるようになった。再婚禁止期間の意義は薄れている。
 夫婦別姓禁止、再婚禁止期間は古い家族制度に根差した規定だ。制定時に想定していなかった事態が起きている以上、政府、国会は主体的に法改正を検討すべきだ。
 事実、法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓制度の導入や、再婚の禁止期間を6カ月から100日に短縮する改正要綱を法相に提出した。その時は「伝統的家族観が崩れる」という反対意見が強く、国会提出は見送られた。
 しかし、夫婦観や家族観の多様化は一層進んだ。古い民法をそのまま放置することは許されない状況にある。
 婚外子の相続規定について最高裁は2013年、「家族観が変わり、相続分を差別する根拠は失われている」という判断を下している。古い民法と実社会との乖離(かいり)を是正するものだといえる。
 日本は国連の女性差別撤廃条約を1985年に批准した。性差別を固定化するような民法を放置している現状に国際社会は厳しい目を向けている。
 二つの民法規定に示す最高裁判断は家族と法をめぐる論議に少なからぬ影響を与えるだろう。それを待たずとも、憲法に定められた「法の下の平等」を夫婦や家族の間でいかに保障するか、政府や国会は早急に論議を進めてほしい。