<南風>シンギュラティ


社会
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 先日、サンフランシスコのITイベントに参加してきた。4日間、全世界から17万人が参加するITのイベントとしては世界最大のものだ。そのイベントの中で今年の話題の中心は人工知能だった。いよいよ人工知能がさまざまな機能の中に入ってきて、実用化されていくというものだ。

 人工知能というと「未来の話」のように聞こえると思うが、その人工知能を構成する要素技術は、実は非常に身近になっている。インターネットのショッピングサイトで、あなたにはこれもお勧めですよ、と表示されるのは、購買履歴から「予測」する技術だ。スマートフォンに、今日の天気は?と聞くと、天気予報を返してくれる、これは「自然言語解析」という技術だ。

 ソーシャルネットワークサービスで写真をアップすると、勝手に人間の顔を認識して、これは誰々さんですね?とタグ付けをしてくれる。「機械学習」という技術だ。またついに自動運転する車も市販された。これは「深層学習」という技術を主に使っている。人工知能は、もう身近にあるのだ。医療や災害予測などの研究もどんどん進んでいる。

 今後、さまざまなデータがどんどん蓄積され、人工知能はさらに進化していくであろう。人工知能の進化はチェスや将棋、さらに複雑ゆえに人間には勝てないと言われていた囲碁でも人工知能が人間を超えたことを見ても分かる。真の情報革命は、いよいよこれから始まるのだ。

 人間の知能を人工知能が超える技術的特異点をシンギュラティという。一説によると2030年には、この特異点を迎えるという。人工知能が人間に反乱を起こし、人類と戦う未来SF映画「ターミネーター」の世界もフィクションでは無くなってきた。これからの人工知能が、人類の幸福につながることを信じている。
(寺田克彦、テラ・ウェブクリエイト社長)