<南風>帰ってきたいと思える島に


社会
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 3月1日、久米島高校に島外・県外から入学した離島留学第1期生が旅立った。入学前から関わってきた生徒たちがついに卒業かと思うと感慨深く、卒業式中、天井ばかり見ていた。

 私が久米島に来て最初に取り掛かったのが、離島留学生の募集だった。同時に、当時は寮もなかったので、同居させてくれる里親さん探しに走り回った。毎晩仕事の後で、当時の町教育長や教育課長、商工会長と一緒に一軒一軒お願いに回ったのも、今では懐かしい。

 2日に開かれた離島留学生の卒業報告会には、保護者と里親さんのほか、町長や教育長、議長、商工会長など、約40人が集まった。生徒一人ずつのスピーチでは、「地元ではできない経験を通じて新しい自分を発見できた」「異なる環境に身を置くことで、進学する目的について深く考えることができた」など、彼らがこの島で特別な3年間を過ごしてきたことが感じられた。

 ところで、沖縄総合事務局が昨年9月、久米島、宮古、八重山地域の高校3年生を対象に「離島の高校生に関する意識調査」を実施した。それによると、高校卒業後、9割以上の生徒が進学や就職のため島を離れるのはどの地域も同じ。ただ、「将来島に戻る気持ちがあるか」という質問に、あると答えた久米島高校生は57・6%で、3地域平均よりも低かった。

 そして何より驚いたのが、「10年、20年後の島のイメージ」に対する回答。「発展している」と答えた宮古・八重山の生徒が60%以上だったのに対し、久米島はわずか20%。これについては、われわれ大人がもっと頑張らなければならない。

 卒業生たちには、自分の選んだ道を思い切り進んで行ってほしい。その間に私たちは、いつか帰って来たいと思うような島にできるよう、頑張るから。
(山城ゆい、久米島高校魅力化事業嘱託員)