<南風>沖縄で集い、繋がる


社会
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 「世界に開かれた交流と共生の島」―沖縄21世紀ビジョンがめざす将来像です。小さな島国ながらアジア諸国と交易した歴史を持つ我が県は「国や政治、人種、言語、宗教を超えて人が集い語り合うことができる」。私がそう確信したのは内閣府事業で始まり、基金によって沖縄県が主催した「アジアユース人材育成プログラム(AYDPO)」を6年間運営させていただいたからでした。アジア13カ国と沖縄・日本の高校生たちが3週間かけて環境問題について議論し交流し共通のビジョンをつくりあげました。600人を超えるOGOBたちの多くはたくましく成長し、AYDPOファミリーとして国を超えた交流や活動を続けています。

 一方、世界に40万人といわれる沖縄県系人の子弟と県内の子供達が1週間かけて沖縄の自然や歴史・文化を学び交流する「ウチナージュニアスタディ」事業では、参加者たちはアイデンティティーに目覚め家族のようになっていきました。

 両事業を比較すると面白いことがわかりました。文化の共通性があるアジアの子たちは、ゆし豆腐を“美味(おい)しい”と食べますが、南米や欧米で生まれ育った県系人子弟は食べられないのです。両者の共通項は沖縄で交流する間に沖縄もお互いも大好きになり、みんなが家族のように繋(つな)がることです。

 となれば、文化で繋がる人も血で繋がる人も、結婚や仕事で県系人と繋がった人も、沖縄でなら心を許し本音で語り合える可能性があるということではないでしょうか。なんて素敵(すてき)でしょう。世界中の人が沖縄に集うことで安心して語り合い共に未来を描くことができるなら、さまざまなビジネスや教育や国際的活動の可能性があると思います。夢は大きくなるばかりです。

 あっという間の半年間でした。お読みいただき、感謝します。ありがとうございました。
(開(比嘉)梨香、カルティベイト社長 沖縄海邦銀行社外取締役 元沖縄県教育委員長)