コラム「南風」 タンパク質の「特異動的作用」


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 「運動してもなかなか痩せない」「肉や脂肪を減らして野菜中心にしたのに体重が減らない」とお悩みの皆さん、反省する必要はありません。肥満や糖尿病の原因は、運動不足でも肉・脂肪の食べすぎでもないからです。ヒトの体脂肪を作るのは、穀物、果物、野菜に多く含まれる糖質(炭水化物)だけです。

 私のダイエット指導の柱は、タンパク質をメーンに食べること。3カ月で10キログラム、半年で30キログラムの減量に成功した方もおられます(腎機能などの健康チェックは必要です)。糖質以外の食事制限はなく、運動も不要で、間食も可。泡盛や糖質ゼロビールなら飲酒もOKです。
 皆さんもぜひ、必須栄養素であるタンパク質と脂質を十分に含む「肉、卵、チーズ」をたっぷり食べてください。炭水化物は必須栄養素ではないので、後回しにしてかまいません。植物性タンパク質では島豆腐などもおすすめです。
 タンパク質は体を作り、修復する材料です。食べると消化吸収のための唾液や胃液の合成分泌をはじめ、腸の運動、筋肉や骨の合成、体の修復(病気を治す)などのために多くのエネルギーが消費されます。
 タンパク質を大量に摂取しても人体には貯蔵されず、すべて消費されます。体の活力が高まって自然に運動量が増えるので、さらに脂肪が燃焼して痩せる好循環も生まれます。
 この一連の作用をタンパク質の「特異動的作用」といいます。脳内ではセロトニンやアナンダマイドなどの“幸せホルモン”が合成され、考え方も自然と前向きになります。
 生き生きとした人生を送るためにも、タンパク質が必要。沖縄が“芸能の島”と呼ばれ、老いも若きもエイサーに唄三線踊りにと元気で明るいのは、琉球豚肉食文化を守り続けているからなのです。
(渡辺信幸、こくらクリニック院長)