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緊迫の救急現場や手術室も…沖縄の高校生が医療に触れる実習 中城村・ハートライフ病院


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急患が搬送され、三戸正人医師(左)が処置する緊迫の現場を見学する青のユニホームの実習高校生ら=10日、中城村のハートライフ病院

 【西原】医学部や医療、福祉系を志望する高校生を対象にした医療体験実習が、中城村の社会医療法人かりゆし会(安里哲好理事長)運営のハートライフ病院で7月25日から8月26日まで行われている。同病院では初開催の画期的な取り組みで7校から20人が参加している。

 困っている人がいたら助けたい、手伝ってあげたい―。将来を真剣に考える高校生に医療従事者という選択肢を考えてほしいと企図された夏休み期間中の応援イベント。病院のホームページで募集を呼びかけたところ昭和薬科大学付属、沖縄尚学、球陽、開邦、知念、北中城、N校の7校から定員20人が一気に埋まった。内訳は女子18人、男子2人。

 実習は医師、看護師の下で実践的な経験を通して医療の現場を理解し医療に関する知識や視野を広げることが目的。

 具体的には医師、看護師と一緒に患者の状態を確認する回診ラウンド、基本的なケアや薬の管理、手術室、救急搬送の患者の初期治療の対応や検査、手術、リハビリ見学、カンファレンスや検討会、退院後の患者のケア、医療サービスを学ぶチーム医療への参加など多様なプログラムが組まれている。

 参加者は4人編成、5組で実施、1組4、5日の実習日程。最終日には体験発表を行う。

 医学部を目指しているという昭和薬科2年の新垣花果さんは「毎日が緊張の連続。医師や看護婦の職責にかける使命感に心を打たれた。あらためて進路に確信を持つかけがえのない実習になりました」と口調を引き締めた。

 救急部長として実習企画を担当した三戸正人医師は「患者に寄り添い、元気を取り戻し、笑顔にするのが医療従事者の大事な役割。しかしコロナ禍で現場を離れる方が増えた」と厳しい医療、福祉現場の状況を指摘、「これを機会に多くの若い人材が医療分野に目を向けることを願っている」と、県内医療界充実のため他の病院でも同様の実習実現に期待を込めていた。
 (岸本健通信員)