高江工事、企業に協力迫る 16年首相補佐官 電源開発に便宜約束か


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
 和泉洋人首相補佐官(資料写真)

 沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設に関し、和泉洋人首相補佐官が2016年、米政府に成果を示すことを最優先し、電源開発(Jパワー、本社東京)に協力を求め、見返りに便宜を図る約束をしていたことを記すJパワーの内部文書を本紙は27日までに入手した。文書には「何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい。海外案件は何でも協力しますから」と記されていた。文書は和泉補佐官とJパワーの北村雅良会長が同年9月14日に首相官邸で面談した際の発言録。高江のヘリパッド建設や辺野古新基地建設を主導してきた官邸が便宜をちらつかせて企業に協力を迫った可能性がある。

 和泉首相補佐官は沖縄の基地問題を担当する菅義偉官房長官の下で実務を担う官邸の中心人物。和泉首相補佐官室は本紙の取材に対し「米軍北部訓練場のヘリパッド建設事業は沖縄防衛局所管の事業ですので、同局に問い合わせください」と回答。面談や発言内容の事実関係について言及を避けた。

 Jパワーが協力を求められたのは、ヘリパッド建設予定地に隣接するJパワー所有の「沖縄やんばる海水揚水発電所」(国頭村、16年7月に廃止)の施設の貸し出し。実際に施設は沖縄防衛局職員の作業や宿泊所として完成まで3カ月間使用された。

 Jパワーは本紙の取材に、沖縄防衛局からの協力要請に基づいて「施設の一部分の使用を認めた」と回答した。一方、首相官邸での北村会長と和泉首相補佐官の面談や内部文書の事実関係については「回答を差し控えたい」とし、海外事業で政府が便宜を図った事実があるかについては「ない」とした。