沖縄市クラスター、県が濃厚接触把握に遅れ 死者出た2日後対応


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 「会議参加者が死亡したと分かった時点で沖縄県に対応を問い合わせた。しかし、県は『濃厚接触には当たらない』として自宅待機や行動制限の指導は特になかった」。沖縄市軍用地等地主会の会合は県内初のクラスター(感染者集団)として7人の感染者を出し、うち1人が死亡した。参加者が亡くなった直後から、会関係者は県に何度も対策を求めて問い合わせたが、県から明確な指導はなかった。地主会の不安や危機感とは裏腹に、県や保健所の対応の鈍さが浮かび上がる。

 21日に県内初のクラスターと認定されたのは、7日に沖縄市仲宗根の事務所で開催した役員改選の会議だった。15日に参加者の死亡が判明すると、地主会はすぐに中部保健所に問い合わせ、対応を尋ねた。

 亡くなった人が会議に参加してから2日後の9日に発症したとして、保健所は「発症した日から」という当時の定義に沿って「(他の会議参加者は)濃厚接触には当たらない」と答えた。消毒や会議参加者の自宅待機など、踏み込んだ指導はなかったという。濃厚接触したと判断される人の範囲については、国立感染症研究所が20日付で「症状が出る2日前からの接触」と定義を変更している。

 同日、会議参加者で2、3人目の感染も相次いで判明し、地主会の不安は高まった。保健所から明確な指導がないまま、翌16日、独自の判断で事務所を閉鎖した。「自主判断で自宅待機している人もいるが『大丈夫』と思い込んでその後も他の会合に参加した人もいる」

 県は21日にクラスターが判明した時点で「出席者は全員把握できている」とし、会議の主催者や会場など詳細は明かさなかった。しかし、県が地主会に参加者名簿提出を求めたのは17日。地主会の最初の問い合わせから2日も経過していた。