「沖縄との懸け橋に」 伊江村出身の永山寛理氏 宮崎県副知事に12日就任


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「身も心も尽くす思いで副知事としての任務を全うしたい」と意気込む永山寛理氏=東京都内

 【東京】沖縄県伊江村出身で内閣府地方創生推進事務局参事官の永山寛理氏(48)が12日付で宮崎県副知事に就任する。これに先立ち琉球新報の取材に応じ「宮崎と沖縄の懸け橋になって貢献していきたい」と意気込みを語った。

 宮崎県は和牛や豚、地鶏をはじめ農畜産業が盛んな地域だ。数多くの神話が残る高千穂や、青島海岸など観光資源に恵まれているが、広い県土に観光資源が分散しており交通アクセスに課題があるという。

 数百年おきと考えられている南海トラフ巨大地震で大きな被害が出ることが想定され、防災・減災面のインフラ整備も急務だ。

 九州全域を襲った豪雨で、宮崎県でも道路の崩落や浸水などの被害が出た。国土交通省で道路整備や治水などの対応に当たった経験を生かし「被害確認後、早急に、復旧復興や防止策などの対応に当たりたい」と、早速、大きな課題に取り組むことに気を引き締めていた。

 一方、宮崎と沖縄のゆかりも意識している。

 アジア太平洋戦争中、多くの沖縄の人たちが宮崎に疎開した。現在も「リトル沖縄」と呼ばれる街がある。永山さんは沖縄戦でひめゆり学徒隊に入っていた当時15歳の叔母を亡くした。出身地の伊江島では「集団自決」(強制集団死)が起きるなど悲惨な出来事があった。

 子どもの頃から平和への思いを親から聞いて育っただけに、戦争と平和を巡る、両県の結び付きへの思いはひとしおだ。「親から聞いた平和への思いをしっかり受け継ぎ、仕事をしていきたい」と語った。

 東京大で数学を専攻した。「数学が好き」と語る。「数学など高校までの勉強が世の中に出て本当に生かされるか疑問に思う学生もいるかもしれない。だが、中央官庁で働く官僚としては、数学的な思考法は、理屈を詰めていく上で間違いなく生かされた」と振り返る。「沖縄の子どもたちには、ぜひ勉学にいそしんでほしい」と古里の後輩たちにエールを送った。