4月に米軍普天間飛行場で有毒な有機フッ素化合物(PFAS)を含む泡消火剤が流出した事故について、防衛省と沖縄県、米軍は4月から5月にかけて実施した調査の結果を4日現在、公表していない。それぞれが分析した土壌と水質の調査結果は既に出ているが、3者は数値の評価や公表方法についてお互いの間で調整している。識者は公表前のすり合わせについて「公表の仕方として不適当だ。個々の調査結果を全て公表し、別々で評価すべきだ」と指摘。「調整」を経た公表内容の信用性にも疑問を呈した。
玉城デニー知事の普天間飛行場視察に同行した松田了環境部長は4日、松川正則宜野湾市長に対し「3者が分析した値を比較しており、公表に向けて調整中だ」と説明した。
流出事故が4月に発生し、5月までに国と県は5回に分けて普天間飛行場内に立ち入り、水を採取した。汚染された土壌の採取も望んでいたが、米軍が先に撤去し、後日、一部を調査試料として取得した。
水と土壌の分析は、国と県、米軍の3者それぞれで実施した。関係者によると、1カ月ほど前に防衛省と県の調査結果が出て、その後、米軍の調査結果が判明した。
防衛省は「一緒にやっている調査なので、公表についてもすり合わせている」と説明した。
県環境保全課は「似たような結果なのに県は悪いと言い、米軍はいいと言えば(知らされる方が)混乱する」と述べた。
本紙の調査では泡消火剤が流れ出た河川などからPFOSやPFOA以外の有機フッ素化合物も検出されている。
(明真南斗)