馬毛島に在沖米軍訓練移転の予定なし 河野防衛相「南西防衛の要に」


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 【東京】河野太郎防衛相は11日の記者会見で、防衛省が馬毛島(鹿児島県西之表市)で整備を計画する自衛隊基地について「南西諸島防衛の要の一つになるのではないかと期待している」と語った。同省は馬毛島で滑走路2本を有する自衛隊基地を整備した上で、硫黄島(東京都)で行われてきた米海軍の空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)を移転する計画を進めている。沖縄に駐留する米軍の訓練移転で馬毛島を使用する予定は現段階ではないという。

 防衛省の計画では米軍のFCLPのほか、陸海空の各自衛隊による訓練などでの使用が想定されている。河野氏は「物資の集積をはじめ、南西諸島防衛のためのさまざまな訓練をそこで行えるというのは非常に重要だ」と強調した。

河野太郎防衛相

 馬毛島を巡っては、米軍普天間飛行場のMV22オスプレイの訓練移転先とする案が取り沙汰された経緯がある。2016年7月には県の翁長雄志知事(当時)も視察した。

 鹿児島県を地元とする南日本新聞が今年5月の憲法記念日に合わせて同県内で実施した世論調査では、馬毛島のFCLP計画に賛成と答えた人が48・1%で、反対の44・3%を上回った。沖縄の基地負担軽減と国防の観点を理由とする賛成が多い結果になっている。ただ、政府の説明では馬毛島に移転される米軍の訓練は、横須賀基地(神奈川県)を拠点とする原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機のFCLPのみで、在沖米軍の訓練移転は対象になっていない。

 河野氏は今月7日の記者会見で、馬毛島でのFCLP以外の米軍訓練について問われ「現時点ではFCLPを行わせていただきたい」と述べるにとどめた。