OISTが新型太陽電池 高効率で安定性向上 ペロブスカイト利用


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沖縄科学技術大学院大学(OIST)などの研究チームが開発した高効率で安定性の高い太陽光電池モジュール(OIST提供)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は12日までに、OISTの研究者らがペロブスカイトと呼ばれる材料を用いて、効率が良く安定性の高い次世代型太陽電池モジュールを開発したと発表した。

 ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を利用した太陽電池は、基盤に溶液を塗布することで製造できる。太陽光電池の主流を占めるシリコン系のソーラー発電パネルに比べ柔軟で軽量、製造コストも安価という特徴がある。一方、大型化すると効率が急激に低下することや寿命が短いことなどの課題があり、商業用のソーラーパネルにするには、より品質の高い材料と優れた製造技術の開発が求められている。

 研究チームは、多くの層で構成されているペロブスカイト太陽電池の各層の相互作用などに焦点を当てて研究した。

 日光を吸収する活性ペロブスカイト層と酸化スズの電子輸送層の間に化学物質のエチレンジアミンを加えることで安定性と効率を向上させた。別の層に少量のPH3Tというポリマーを混合することで耐湿性の向上や長寿命化につながることが判明した。さらにポリマーやガラスで全体を保護コーティングすることで、初期の効率が80%まで低下する時間が2680時間となり、従来の1600時間以下程度から大幅な長寿命化を実現した。

 研究ユニットを率いるヤビン・チー教授は「効率と安定性を向上させるために、全体的に界面の安定性の改善を図る方法を取った。今回の結果は、長時間の安定性と高効率性を合わせ持つ大型のペロブスカイト太陽電池モジュールの実現に向けた重要なステップを示している。今後、モジュールをさらに大きくし、安定性の向上に取り組んでいく」とコメントした。