米文書、学生に翻訳依頼 宮森630会 墜落事故、琉大受講生へ 若い世代が知るきっかけに


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モニターの画面越しに石川・宮森630会の久高政治会長(右)の説明を受ける琉球大学の学生ら=13日、うるま市石川

 【うるま】61年前の宮森小米軍ジェット機墜落事故を語り継ぐ石川・宮森630会は13日、事故の詳細が記録されている米公文書の新たな翻訳作業を手伝ってもらおうと、琉球大学の学生らに説明会を開いた。米国の当時の資料に触れてもらい、若い世代が事故について興味を持つきっかけとしたい考えだ。

 琉球大学非常勤講師の北上田源さんの「沖縄の基地と戦跡」という講義を受けた学生の中から希望者を募り、5人が説明を受けた。新型コロナウイルス感染予防のため、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使用した。

 宮森630会は昨年、翻訳資料集「石川・宮森の惨劇」を出版している。同資料集で訳出したのは、米空軍の事故報告書と米国立公文書記録管理局(NARA)が保有する琉球列島米国民政府(USCAR)の関係資料の一部。未訳部分について現在翻訳を進める計画を立てており、昨年関わった人に加え、今回は琉球大の学生ら若い世代の協力も得る予定。

 説明会では630会の久高政治会長が事故の概要を説明。その上で、同会が発足した経緯として「事故が忘れ去られようとしていた中で50年を迎え、2010年に活動をスタートさせた」と話した。体験者の証言や当時の資料を集め、事故の記憶を語り継いでいく活動の一つが、米公文書の翻訳だ。

 学生の中には事故の詳細を知らない人もおり、久高会長は「米国の当時の資料に触れられるのは、学生にとってもいい体験になるのではないか」と伝えた。県外出身で、琉球大2年の川島毅琉(たける)さん(20)は「沖縄に来るまで事故のことは知らなかった。米軍の生の資料に触れる貴重な機会だと思う」と意欲を見せた。

 学生らには、翻訳に当たる米公文書の原文や630会がこれまで発行した証言集、資料集を送り翻訳の役に立ててもらう。新たな資料集として続刊を出版するかどうかは、翻訳する過程で検討する。(砂川博範)