インタビュー 根路銘勇氏 県情報産業協会長 サービス提案能力必要


社会
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根路銘勇氏

 県内で集積が進む情報通信関連企業の業種が多様化する中、求められる人材の高度化も進む。県情報産業協会の根路銘勇会長に、現状の県内IT業界の評価や人材確保に向けた取り組みを聞いた。

 -現状の県内情報通信関連産業をどう評価するか。

 「コンテンツ制作やゲーム開発、データセンター、情報通信端末の検証など、高度な技術が必要な業務を含め多様化が進んでいる。国際海底ケーブルの整備も予定され、国内外から企業、人材、知識が集積するアジア有数の国際通信ハブの形成に向け順調だ」
 「一方で人材は不足している。金融機関の再編に伴うシステム更改、マイナンバー制度の開始、東京五輪に向けた需要でエンジニアが大都市に集中し、福利厚生面で劣る地方で特に人材確保が難しくなっている」

 -人材確保の課題は。

 「IT業界に進みたい学生の裾野を広げることが重要だ。そのためには社会に根付く『IT業界は労働環境が悪い』という印象を払拭(ふっしょく)する必要がある。業界の発展可能性は高い。学校での出前講座やイベント開催で啓蒙(けいもう)していく」
 「これまで県内では、発注側の求めるサービスをつくる受託型開発が主流だったが、今後は新サービスを自ら提案できる人材が必要だ。それにより県外と差別化を図り、受注単価の高い業務を請け負うことで雇用面での改善にもつながる」

 -人材の高度化に向けた取り組みは。

 「協会では県からの委託事業として、業務を発注する県外企業から、受注に必要な技術を直接学ぶITアドバンスド・プロフェッショナル講座(iTAP講座)を実施してきた。前身の事業を含めるとことしで14年目になるが、本年度からは資格取得に向けた対策講座も始めた。高度な資格を持つ技術者を増やし、沖縄の技術レベルを可視化して県外にアピールしたい」(聞き手 長嶺真輝)