PAC3「撤収しないでほしい」 報道各社の取材に常駐配備を要望した与那国町長


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PAC3が与那国島へ初めて配備されたことなどについて、見解を述べる糸数健一町長=25日、与那国町役場

 【与那国】北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備え、防衛省・自衛隊が地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を与那国島へ初めて展開していることを受け、与那国町の糸数健一町長は25日、町役場で報道各社の取材に応じ、PAC3を「撤収しないでほしい」と述べ、常駐を望む考えを示した。県に対しては港湾や空港の「使用許可を速やかに出してほしい」と注文を付けた。

 糸数町長はPAC3配備に関して、石垣市の中山義隆市長が「受け入れる」と明言し配備に前向きな姿勢を示したことに「当然だ」とし、自身も肯定的な立場であることを示した。

 防衛省と自衛隊が配備に向けて「かなり迅速な対応」で「ほっとしたと同時にうれしかった」とも述べた。その上で「できればそのまま撤収しないでこの島に置いてほしい。いつでもすぐ、即時に対応できるように、あってほしいというのが本音だ」と強調した。

 配備や陸上自衛隊与那国駐屯地について反対の町民にはどう説明していくのか問われると、尖閣諸島周辺に中国海警局の船が航行していることなどを例に挙げ、町民を「誰が守るのか。かろうじて駐屯地ができたおかげで日本領土だと(他国に)意思表示できるから守られる。これが現実。そういう要衝にあるのが与那国島だ」と述べた。

 一方、今回のPAC3の先島展開で、民間港などが使用できない事例が発生していることを受け、空港や港湾を管理する県の対応は「(自衛隊に)抵抗しているようにしか見えない。思想信条は抜きにして、県はもっと協力すべきだ」と主張した。

 これまで町内の漁港は空いていれば、県が「すんなり」使用許可していたとし「今回は県がちゃちゃを入れている。町民の命をないがしろにするのか。本当に憤りしかない。理解ができない」と批判した。
 (照屋大哲)