県内消費拡大も人手不足は深刻 建設やサービス業顕著


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 景気は好調だが、人手不足は深刻-。14日に発表された日銀短観では、こうした傾向があらためて浮き彫りになった。観光客の増加や公共事業の拡大などにより県内消費が拡大しているものの、好景気は企業の人手不足感も強めている。

 人手不足が顕著なのは、サービスや建設業だ。沖縄労働局がまとめた2015年10月分の職業別常用有効求人・有効求職の状況報告によると、「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は1・67、「飲食物調理の職業」は1・42、「接客・給仕の職業」は1・79と、全職業の有効求人倍率0・74と比べると、高い水準となっている。7月に開業したハイアットリージェンシー那覇沖縄の佐藤健人総支配人は「開業当初はハウスキーパー(清掃員)の時給を千円にしても充足するまでに3~4カ月かかった」と話す。県建設業協会の源河忠雄常務理事は「公共・民間工事ともに好調で少子化の影響もある。人手不足を改善するためには、週休2日をしっかりと取れるようにしないといけない」という。
 観光業界などは、外国人を採用し、バイリンガル対応のスタッフなどを採用するなど解決策を模索している。ただ、本島南部の建設会社社長は「人手不足は日に日に厳しくなっている。建設の遅れも頻繁に出ており、観光業と違って外国人を採用するわけにもいかない」と懸念を示した。
 沖縄労働局は「求人があっても、人が集まらない現状がある。給料が高くても休みが取れないと採用に結び付かない。働きやすさを重要視した全体的な労働条件の魅力づくりが必要だ」と分析した。
(阪口彩子)