子ども貧困対策に10億円 内閣府、県内に支援員配置


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 【東京】沖縄の子どもの貧困対策として、内閣府沖縄担当部局が2016年度の沖縄関係予算に10億円の予算計上を求めることが17日、分かった。概算要求3429億円には入っていなかったが、喫緊の課題だとして要求する。貧困対策として、子どもに寄り添い、必要な支援につなげる支援員の配置や無料・低額の子ども食堂といった居場所づくりなど、三つの柱を軸とした支援案も固めた。

 支援案は(1)寄り添い型支援を行う「支援員」の配置(2)子どもの「居場所」の確保(3)親の「就労」支援-の三つが柱。具体的には家庭や学校、健康など複合的な課題を抱える貧困家庭の子どもに対し、必要な支援につなげる支援員を配置する。「児童自立支援員」「スクールソーシャルワーカー」などを想定している。
 居場所の確保では、地域の状況などに応じて無料・低額の子ども食堂、学習支援教室などを設置する。経済的自立につなげるための親の就労支援策は、ひとり親の雇用の場を増やし、雇用形態を安定させるよう企業に呼び掛け、応じた企業を表彰するなどの案がある。
 子どもの貧困は、2012年の調査で国内の子どもの貧困率は16・3%で、子どもの6人に1人が貧困状態にある。都道府県ごとの比率は算出されていないが、全国的に見ても県内は生活保護率が高く、県民所得が低いことなどがあり、子どもの貧困割合はさらに多いとみられている。
 県内の子どもの貧困状況把握や今後の貧困解消目標などは決まっていないが、内閣府の担当者は「食べられない子どもがいるのは一刻を争う」として、支援を進めながら潜在的なニーズなども把握する考えだ。
 島尻安伊子沖縄担当相も就任当初から子どもの貧困対策に乗り出した。内閣府で有識者との懇談会を開き、県内では全市町村長に呼び掛けて会議を開催し、予算化を目指す。10億円の確保が実現すれば100人規模の支援員配置が可能となる見込み。(仲村良太)