社会

砲撃騒音対策 補助なし 防衛省、県外では実施

 【名護】防衛省が県外の自衛隊演習場周辺地域を対象に、砲撃音被害による住宅防音工事への補助事業を行う一方、県内の米軍基地周辺地域では射撃訓練や廃弾処理の騒音被害に対する補助はなく、被害を把握する測定調査も行っていなかったことが5日、分かった。琉球新報の取材に対し、沖縄防衛局が「(同騒音被害に関する)測定調査を行ったことはない」と答えた。米軍キャンプ・シュワブ周辺では廃弾処理や実弾射撃訓練の騒音被害が相次いでいる。

 専門家は早期の測定を求めた上で「補助事業の認定基準に置き換えれば、シュワブに隣接する久辺3区は補助対象になる可能性がある」と指摘した。名護市は「構造的差別だ。実態を調べ、該当するなら補助事業を実施するべきだ」としている。市は同日、補助事業をしていない理由などを防衛局に照会した。
 防衛省が2008年に定めた「演習場周辺住宅防音事業補助金交付金要綱」は、米軍の県道104号越え実弾射撃訓練が移転した北海道の矢臼別演習場などを含む計10カ所の演習場周辺が対象。砲撃や射撃、爆撃による騒音軽減に必要な防音工事をしている。北海道防衛局の広報誌では、補助事業について訓練移転を円滑に進めるための施策と紹介されている。県外の自衛隊演習場周辺地域の被害が救済される一方、県内では長年続く米軍の廃弾処理や実弾射撃訓練の騒音被害が放置され続けている。
 市は1月末から防衛局に照会していた。これまでに、シュワブの住宅防音工事の補助について「定められた要綱はなく」、県内の米軍基地の廃弾処理や射撃訓練などで生じた音に対する防音工事に「補助金が交付された事例はありません」との回答を受けた。
 名護市基地対策室が久辺3区で続ける爆発音調査では、毎月80デシベル以上の騒音を確認。15年2月17日に豊原区で106回計測した。市や市民団体が抗議し続けても改善していないという。久志区に住む森山憲一さん(73)は、「夜間や朝も演習があってとてもうるさい。調査していないのは二重基準だ」と批判した。
 米軍基地関連の騒音調査を続ける、琉球大学の渡嘉敷健准教授(環境・音響工学)は「砲撃音などの衝撃波は人体や建物に影響を及ぼす。シュワブの廃弾処理現場は沖縄高専と近いので早期に測定し、対策を取るべきだ」と指摘した。
 (嘉陽拓也)



琉球新報