脱貧困へ家計助言 学習や就労、支援拡大 来年度から県内自治体


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤

 生活困窮者自立支援制度で県内各自治体が2016年度から事業を拡大する。家計管理が困難な生活困窮者に家計簿のつけ方などを助言して支える「家計相談支援事業」を、町村部を担当する県と豊見城市が新たに導入する。専門員が相談者世帯の収支を把握した上で専門的な助言を行い、支出を見直した家計表を相談者と共に作成する。県内では名護市が唯一、15年度から実施しており、ことし1月末までの支援実績は15件に上る。支援を受けて初めて支出の多さに気付く利用者も出ているという。

 「家計相談支援事業」のほか、困窮世帯の子どもの学習支援をする「学習支援事業」を石垣市が新たに始める。沖縄市は、すぐに就労が困難な人を対象に基礎能力を養う研修を提供する「就労準備支援事業」を導入する。住居を喪失した人に一定期間、衣食住などの支援を提供する「一時生活支援事業」も始める。15年度の支援事業は、各地域でほとんどが継続される。
 県は学習支援について、5町村から離島を含め8町村に増やす。支援員を7人増やし、離れた地域への訪問相談を強化する。
 豊見城市は、就学資金や家計維持のための借り入れや返済の相談に対応するファイナンシャルプランナーの常駐を検討している。
 那覇市は現在実施している一時生活支援と学習支援を継続する。学習支援は内閣府の「沖縄子供の貧困緊急対策事業」を活用して拡充を図る。
 15年度から始まった生活困窮者自立支援制度には、福祉事務所のある自治体が実施しなければならない必須事業と、地域の実情に応じて選択する任意事業がある。(岩崎みどり)