悔しさ、悲しみ広がる 市民ら涙で手合わせ


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遺体遺棄現場近くで献花し、手を合わせる市民=23日、恩納村安富祖

 【恩納】米軍属女性死体遺棄事件で、遺体が発見された恩納村安富祖の雑木林には連日花束やジュースなどの供え物を手にした人たちが多く訪れている。被害女性の父親も23日、現場を訪れる姿が見られた。基地従業員や親子連れなど多くの人が手を合わせ、事件が繰り返される現状に悔しさをにじませ、被害女性に思いを寄せている。

 職場が恩納村にある女性(59)は出勤前に遺体遺棄現場となった場所を訪れ、かがみ込んで手を合わせた。「米軍基地関係の事件事故が起きるたびに『再発防止』などの言葉が繰り返されるが、何も変わらない。この現状をどうにか変えてほしい」と話した。

 うるま市から24歳の娘と現場を訪れた米軍キャンプ・ハンセンに務める男性(54)は「子の親でありながら、こんなに残忍なことをできるのか。理解ができない」と声を沈めた。

 子ども3人と妻の5人で名護市から来た男性(50)の目は赤く、やり場のない怒りを収めることができない様子だった。「もともと米軍基地には反対だった。新基地建設などとんでもない」と震える声で強調した。

 交際中の男性と現場を訪れた女性(20)=宜野座村=はジョギングを週3、4回やっていたが、事件後からは控えるようになった。「夜に1人で歩くことが怖くなった」。事件についても「悔しい」と話し、涙を拭った。
 現場では海兵隊の退役軍人が、膝をついて黙とうをささげる姿も見られた。