体毛の変化 突き止めた 阿嘉小・木舩君 ケラマジカ研究


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ケラマジカの調査について発表する木舩君=5月28日、西原町の琉球大学

 5月28日に琉球大学で開かれた沖縄生物学会第53回大会で、座間味村立阿嘉小学校4年の木舩楓斗(きぶね・ふうと)君(9)が、昨年度に取り組んだ研究「ケラマジカの毛の季節による変化」を発表した。木舩君は、自身で考案した採集器具で、ケラマジカの体毛を採取。季節によって毛の色や長さ、固さが変化することを突き止めた。

 阿嘉小と同村立慶留間小学校は、南九州大学の遠藤晃教授(生態学)の指導を受け2004年から総合的な学習の時間を活用し「地域の身近な自然を素材とした主体的・協働的な課題解決学習」に取り組んでいる。児童の研究成果は、同学会で発表している。

 木舩君は「季節によってケラマジカの毛の色や量が違うと普段から感じた」ことから、実際にシカの体毛の研究に着手したと説明。これまで児童による毛の採取は一度に数本しか取れなかったが、木舩君は、餌の入った段ボールの縁にガムテープを貼り、餌を食べたシカの毛が取れるような器具を考案した。「図鑑を読んだり、知り合いのおじさんに聞いたりしてシカの好きな餌を調べた」と話した。

 この器具を使って6月と12月の2度、ケラマジカの計65本の体毛の採集に成功した。木舩君は、それぞれの毛を比較し「6月と12月に採取した毛を比べると、12月のものの方が長かった。この間に毛が伸びたと考えられる」と結論付けた。

 発表後に木舩君は「本年度は(総合学習として)野鳥の調査に取り組むので昨年度より、良い調査にしたい」と新しい研究にも意欲を見せた。

 遠藤教授は「木舩君が考案した器具は毛が効率的に採取できる」と評価。課題解決型学習について「子どもたち自身で考えながら調査を進めてもらっている。学習を通して科学的思考力を身に付けてほしい」と話した。