“幸せ奪う交通事故” 追突され障害 比嘉さんが安全講話


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
飲酒運転者による事故の体験を通して安全運転を訴える比嘉奈津美さん(左)と母親の當間広美さん=2日、与那原町の沖縄リハビリテーション福祉学院

 【与那原】自分のような被害者を二度と出してはならないという思いから、飲酒運転根絶アドバイザーの比嘉奈津美さん(34)と母親の當間広美さん(53)は2日、与那原町の沖縄リハビリテーション福祉学院の生徒たちに交通安全運転の大切さを訴えた。

 2000年に友達とオートバイで帰宅途中、飲酒運転の乗用車に後方から追突され、後部座席の奈津美さんはヘルメットをかぶったまま頭から路上に振り落とされ、病院に運び込まれた。

 「あと30分遅れていたら命が危なかった」と言われるほどの大けがを負った。一命は取り留めたものの、16年がたった今も右半身まひと高次脳機能障害の後遺症に悩まされいる。

 弟妹3人らと楽しかった生活が、一瞬のうちに悲惨な日々と化し、広美さんもけがに苦しむ娘を励まし育てていくのに苦労を重ねてきた。

 「あの飲酒運転による事故に巻き込まれたばかりに…。こんな苦しい思いは自分たちだけでたくさん」。数年前から県警の飲酒運転根絶アドバイザーを務め、各地で親子共に講演活動をして安全運転を呼び掛けている。

 奈津美さんらは介護福祉、言語聴覚、作業療法、理学療法各学科の生徒や職員ら130人余りに交通事故が人を悲しみのどん底に陥れること、これまで味わった苦しい体験を涙を浮かべ息を詰まらせながら、それぞれ話した。

 介護福祉学科の男子学生は「交通事故は被害者、加害者とも同じ苦しみ。ルールを守り安全運転に努めている」と話した。

 同じ学科の女子学生は「母がバイクを運転中、乗用車に接触され事故に遭い足にけがを負ったことがある。車社会で事故をなくすには一人一人が命の大切さをもっと意識してハンドルを握ることが大事」と語った。
(知花幸栄通信員)