琉球海運、2貨物船を同時新造 東京・大阪航路投入へ


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 琉球海運(那覇市)は16日の株主総会で、減収増益の2016年3月期決算を承認した。荷主から徴収する燃料油価格変動調整金(燃料サーチャージ)が原油安に伴って引き下げられた影響で減収だったものの、貨物量は台湾航路の伸びなどで前期比1・1%増と堅調に推移。新たな設備投資計画として、1万トン級の大型貨物船2隻を同時建造し、17年に東京・大阪―那覇航路に投入することを発表した。

 決算は売上高が前期比7・9%減の170億3661万円、経常利益が73・2%増の20億9165万円、純利益が87・8%増の13億8565万円だった。原油価格の下落によって燃料費は約15億円圧縮。売上高に対する燃料費の割合は18・4%となり、前期の25・1%から大きく低下した。前期に特別減価償却費を計上した反動増もあり、過去最高の収益となった。

 輸送実績は定期航路の貨物量が前期比3・5%増の286万4720トン、不定期航路が同26・9%減の16万9711トン、合計で同1・1%増の303万4431トンだった。このうち14年台湾定期航路の輸送量は約12万2千トンで、当初見込んでいた2年目で6万トンという計画値の2倍となった。

 株主総会後の取締役会では山城博美代表取締役会長、宮城茂社長、翁長春雄専務、平原隆美常務の新体制が決まった。

 貨物船を2隻同時に新造するのは1975年以来で、投資額は90億円程度を見込む。大型車両が自走で乗り込めるRORO船で、総トン数はいずれも1万1900トン。97年建造の「にらいかない」(5724トン)、2000年建造の「しゅれい」(6562トン)の代替船となる。積載能力は1・5~1・6倍に向上する。

 山城会長は「同時期に建造することで設計料や部品調達費を抑えられ、現行の低金利環境はチャンスだ。沖縄の貨物が毎年3~4%のペースで増える中、妥当な設備投資だ」と述べた。