怒り、悲しみ限界 沖縄県民大会に6万5千人 米軍属事件に抗議、被害者を追悼


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
犠牲者の冥福を祈って黙とうをささげる県民大会参加者ら=19日午後2時10分、那覇市の奥武山陸上競技場

 沖縄県で発生した米軍属女性暴行殺人事件に抗議する「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」(主催・辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議)が19日、同県那覇市の奥武山陸上競技場で開かれ、主催者発表で6万5千人が集まった。採択された大会決議は、繰り返される米軍関係の犯罪や事故に対する県民の怒りと悲しみは限界を超えていると指摘。日米両政府が事件のたびに繰り返す「綱紀粛正」「再発防止」には実効性がないと反発し、県民の人権と命を守るためには、米軍基地の大幅な整理縮小、中でも海兵隊の撤退は急務だと訴えた。

 決議は要求として日米両政府に(1)遺族、県民への謝罪と完全な補償(2)在沖米海兵隊の撤退、米軍基地の大幅な整理・縮小、県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去(3)日米地位協定の抜本的改定―を挙げた。

 黙とうで始まった大会は追悼のトーンで貫かれ、参加者は被害者、遺族の無念をあらためて思い起こし、深い悲しみに包まれた。米軍関係の犯罪が起こるたびに日米両政府がおざなりな対応に終始し、特権的な取り扱いを認めた日米地位協定が米軍事件の元凶とされているにもかかわらず、改定に踏み込まないことに対する怒りも広がった。

 登壇者らは事件や被害者を忘れず、真に平和な沖縄の実現を目指そうと訴え、「(被害者が)奪われた時間の分、私たちはウチナーンチュとして、一人の市民として誇り高く責任を持って生きていこう」(玉城愛共同代表)と決意を述べた。若者らの声への共感が会場内に広がった。

 翁長雄志知事は「政府は県民の怒りが限界に達しつつあること。これ以上の基地負担に県民の犠牲は許されないことを理解すべきだ」と述べ「地位協定の抜本的な見直し、海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理縮小、新辺野古基地建設阻止に取り組んでいく不退転の決意をここに表明する」と誓った。

 県民大会に呼応し、全国各地でも数百人から約1万人(いずれも主催者発表)が参加した集会が開かれた。県民大会事務局によると、41都道府県69カ所で開催されたという。翁長知事は降壇後、大会について「沖縄の置かれている環境を一人一人が心配し、悲しみと怒りが結集した」と評した。

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