11月に福岡県で開催される第33回日本身体障がい者水泳選手権大会への出場権を獲得した、県内の4選手が練習に励んでいる。全国で行われる指定大会で、同大会への参加標準記録を上回ることで4人に出場権が与えられた。全国大会に出場するのは、胸から下にまひがある赤嶺政則さん(53)=豊見城市、視覚障がいの大久保篤志さん(44)=那覇市=と山里智樹さん(21)=那覇市、左足が義足の結城和昭さん(36)=宜野湾市=の4人。大会に向けて記録への挑戦を続けている。
豊見城市消防本部に勤める赤嶺さんは7月に愛知県で開かれた中部大会で、50メートル平泳ぎの大会新記録(55秒05、両下肢まひと機能障害のクラス)で優勝し、全国への出場権を獲得した。
5年前に突然、原因不明の病「脊髄動静脈奇形」を発症し、胸から下にまひが残った。腕の力だけで水をかき分けて進む。「大変だと思ったことはない。何にでも挑戦したいから」と笑顔で語る。水泳だけでなく、トライアスロンにも挑戦中の赤嶺さん。最終目標であるハワイのトライアスロンを目指し、練習を積んでいる。
6月に大分県で開かれた九州大会で全国への出場権を獲得したのは、大久保さんと山里さん、結城さんの3選手。
広島県出身の大久保さんは、難病のベーチェット病で30歳で完全に視力を失った。那覇市でマッサージ師として働きながら練習を重ねる。マラソンにも積極的に挑戦している。100メートル平泳ぎと、まだ決めていないがもう1種目の出場権を獲得した。パラリンピック(国際身体障害者スポーツ大会)の出場選手選考を兼ねるジャパンパラリンピック出場を目標にしている。「11月の大会で好タイムを出して、ジャパンパラに近づきたい」と抱負を述べた。
九州大会で50メートルバタフライで2冠を達成した山里さんは、来年2月にあん摩マッサージ指圧師試験を控える学生。猛勉強の傍ら水泳の練習を続けている。まだ21歳。将来「東京パラリンピックに出たい」と述べ、勉強とスポーツ、両方に大きな目標を掲げている。
福島県出身の結城さんは、50メートルと100メートルの自由形に出場する予定だ。義足でできるスポーツが限られる中、運動不足解消のために水泳を始めた。
「練習はつらいけど、サボるとすぐに進まなくなるから」と、明るい笑顔で水泳を続けている。(半嶺わかな)