見積もり辞退 筆跡酷似 宮古島市観光事業 業者は届け出否定


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 【宮古島】宮古島市が2014年に一括交付金を活用して実施した観光プロモーション事業で、市が予定価格を決めるに当たって見積もりを依頼した県外3社のうち、2社が同じ日に提出した入札見積もりの辞退届の筆跡が酷似していることが5日、分かった。

 2社のうちの埼玉県のA社は本紙取材に「私は(関係者に)頼まれて見積書を出しただけ。辞退届は出していない」と届け出の事実を否定。B社は「答えられない」とした上で代理人弁護士を選任し、事実関係を確認しているとした。何者かが辞退届を偽造した可能性があるが、宮古島市の当時の担当者は「経緯は分からない」としている。

 市は2社が辞退したため、残った「社団法人宮古島まちづくり研究会」(現まちづくり研究会、東京都)と3700万円の委託事業として随意契約した。

 同事業はフジテレビが毎年夏に開催する参加型イベント「お台場新大陸2014」に宮古島市がブースを出展した観光PR事業。市は市規則に従って14年5月に3社に依頼して見積書を取った。A社は約4200万円、B社は約4300万円で、「宮古島―」は3700万円だった。

 市は3社から見積もりを受けた後、入札に伴う見積もりを依頼したが、2社が14年7月4日に辞退届を提出。2社の辞退届の筆跡は酷似しており、以前に提出された見積書とは一部住所が間違っていた。社印もある。市によると、委任状は提出されていない。市は予定価格を設定しておらず、2社が辞退届を提出した日に予定価格を3700万円と決定し、同日中に「宮古島」と契約し支払いも決済した。

 当時の市観光商工局長によると、事業の提案は「宮古島」側からあった。当時の局長は「見積もりを取るのは課長の権限だった。誰が辞退届を持ってきたかは分からない」と話した。