【島人の目】アイデンティティー再認識


社会
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 里帰り中の真夏の暑さには参ったが、第6回世界のウチナーンチュ大会中は、海外からのウチナーンチュを迎える歓迎の熱さと祖父母の地に帰って来たウチナーンチュたちの熱気、沖縄文化の神髄を感じさせられた感動の4日間だった。期間中の多彩なイベントを準備した県をはじめ、各市町村には感謝の思いでいっぱいだ。

 今回は前夜祭のパレードには参加せず、友人らと沿道に陣取り声援を送った。「お帰りなさい」に反応してハイタッチをしてくる人たち、お菓子や国のバッジ、ネックレスなどを渡す人たち、感極まって涙ぐむ海外のウチナーンチュたち。30時間かけて沖縄にやって来たというボリビアの若者たちの踊りには胸が熱くなった。

 開会式は私の好きなアーティストらが盛り上げてくれたが、音響が悪かった。閉会式では若者には受けたDJの音楽が、中高年には合わないと途中で帰る人たちがいたのは残念だった。全体的にはグランドフィナーレはウチナーンチュ大会の最後を飾るにふさわしいショーだった。

 一つ批判の声が上がったのは沖縄担当大臣のスピーチ。「心がこもってなく上から目線的だった」とのこと。余談だが「なぜあの人が沖縄担当大臣?」と疑問の声もあった。

 今回初めて首里城での冊封使接見の儀式や琉球王国絵巻行列を見せてもらった。その他、伝統芸能に武道、そして伝統工芸の数々に改めて沖縄文化の水準の高さを再認識した次第だ。大阪の機動隊員にまずそれらを見せて、沖縄を学習したなら蔑視の言葉は発せられなかったはずだ。まずは、沖縄担当大臣にもじっくり沖縄の歴史や伝統文化を学んでもらいたいものだ。大会を終えて海外のウチナーンチュたちは、私同様、沖縄のアイデンティティーを再確認し、さらに父祖の地に誇りを感じ帰途に着いたことだろう。沖縄よ、ありがとう。また5年後に。
(鈴木多美子、米バージニア通信員)