悲しみ越え未来へ 南風原の平良さん 亡き息子思い絵本


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平良正子さん(中央)から絵本の寄贈を受ける神里智町生涯学習文化課長(左)。右は挿絵を担当した矢野綿子さん=南風原文化センター

 【南風原】南風原町在住で琴の教室を開いている平良正子さん(77)がこのほど、44年前に亡くなった息子誠悟さん(享年9)への思いを込めた絵本「風のおばさん」を自費出版した。誠悟さんをイメージした少年と東京から沖縄に来た少女「みみちゃん」が心を通わせる物語になっている。平良さんは12日、本を町立図書館に寄贈した。

 平良さんは「亡くなった息子にかわいい女の子の友達をつくってあげたかった」との思いがあり、2、3年前に物語を着想した。物語では少年とみみちゃんが交流するなか、淡い恋心が生まれる。不幸にも少年は亡くなってしまうが、みみちゃんはそのことを知らずに再会への期待を持ちながら東京に帰る。

 平良さんは「悲しいことも起きるが、みみちゃんが明るく、未来に向かう姿を見てほしい」と希望する。物語を書くことで、みみちゃんを家族のように感じていると言い「みみちゃんをどう成長させていくか、次回作も書きたいと思っている」と構想を語った。

 挿絵を担当した矢野綿子さん(34)は「物語に出てくるガジュマルや風景からイメージを膨らませた。平良さんの作品への思いを形にしたいと思って描き上げた」と思いを述べた。

 風のおばさんは1300円で新星出版発行。問い合わせは同社(電話)098(866)0741。