専門家に学び サービス向上へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県・沖縄観光コンベンションビューローの平成28年度観光人材育成プラットフォーム構築事業(派遣講師活用支援)は、質の高いサービスを提供できる人材育成を目的とし、企業や団体が行う社内研修に専門講師を派遣する支援事業を実施している。飲食店「あぐーの隠れ家」など6店舗を展開するユーピーマネジメント(木多秀夫社長)は、増加する外国人観光客へのサービス向上のため同事業を活用し、全30回の英語研修を重ねて効果を上げている。

実用的な接客英語学ぶ あぐーの隠れ家

 研修はその名も「外国人のお客様が待ち遠しくなる、ホールで使える英会話研修」。「あぐーの隠れ家」は5~6割が外国人客だが英語が話せるスタッフがほとんどおらず、外国語のメニュー表と最低限の英単語を使った接客しかできなかった。木多社長は課題解決のため事業説明会を訪れ、事業活用を決めた。

講師を客役にして実践的英会話を学ぶスタッフら=2016年12月、「あぐーの隠れ家」北谷店

 取材した日は木多社長と7人のスタッフが、客を席に案内してメニューを説明、注文を取り食べ方を説明するまでの流れを学んだ。「育人」登録講師のイムラン・ソーティーさんが所属する語学学校グローバルビレッジが同店のために作成したオリジナルの接客英語集は実践的な内容。レッスンは全て英語で進められるが、ソーティーさんの温かい雰囲気もあり、スタッフ役と客役を交代しながら和気あいあいと進んだ。

 「今日の会話のポイントは『鍋が熱くなるから気をつけて』というところ。それ以外は笑顔とジェスチャーでも大丈夫」。ソーティーさんの言葉に、スタッフはリラックスしながらも、実践の場で使おうと真剣な表情。3時間の研修で「満席時に予約していない客が来たら」などさまざまな場面を想定した会話や、しゃぶしゃぶを初めて食べる客に必要な説明の仕方を学んだ。

 ソーティーさんは「堂々ともてなすことが良い印象につながる。スタッフが外国人客にも自信を持って接客できるようにすることを目指している」と説明した。

スタッフの成長実感
事業を活用したユーピーマネジメント・木多秀夫社長

 

ユーピーマネジメント 木多秀夫社長

 週2回の研修にスタッフが楽しんで参加している。講師にも恵まれ、スタッフも安心して受講できており、自ら予習・復習するなど成長を感じる。研修を通しスタッフ同士のコミュニケーションが増えたのも良かった。

 事業を活用し英会話のほかマナー研修も実施しているが、これだけの研修に独自で取り組むとなると費用や講師探しなどの面で難しい。

 課題に応じて講師を選択でき、謝金も8割助成というのはとても助かる。次はぜひ中国語研修に活用させてほしい。

 

外国人のお客様が待ち遠しくなる英会話研修
育人登録講師・イムラン・ソーティーさん(語学学校グローバルビレッジ)

育人登録講師 イムラン・ソーティーさん

 英語が苦手なスタッフも、レッスンで学んだ会話を暗記するなど努力していて、その成長ぶりに驚いている。客から接客英語集通りの質問がくるとは限らないので、スタッフが混乱せずに対応できるよう、レッスンでは業種に応じてさまざまな場面を想定しロールプレイを行う。

 英語ができないからといって隠れているわけにはいかない。堂々ともてなすことがいい印象につながる。スタッフが外国人客にも自信を持って接客できるようにすることを目指している。

観光人材育成プラットフォーム構築事業

 観光関連企業・団体が実施する社内研修に対し、講師への謝金の8割を助成する。

同事業への本年度実施期間は平成29年2月15日(水)まで。

― 問い合わせ ―

沖縄観光コンベンションビューロー 国内事業部受入推進課
観光人材育成センター(担当・神山、冨井)
[電話]098(859)6129

「育人(はぐんちゅ)」サイトで詳細確認や申し込みに必要な書類がダウンロードできる。

企画・制作 琉球新報社営業局