焼玉エンジン58年の時越え起動 技術結集、3ヵ月かけ修理


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58年前の焼玉エンジンが修復され、始動する関係者=21日午後、糸満市西崎の新糸満造船

 【糸満】約3カ月かけて58年前の焼玉(やきだま)エンジンの復活に取り組んで来た沖縄舶用工業会(渡眞利敏会長、正会員20社)の「焼玉エンジン蘇生プロジェクトチーム」は21日、糸満市西崎の新糸満造船で、修理が完了したエンジンを始動させた。プロジェクトに携わった関係者やエンジンを保存していた沖縄水産高校の生徒らが立ち会い、エンジンが灰色の煙を上げて動き出すと大きな拍手を送った。

 今回修理した焼玉エンジンは、1951年10月から59年5月まで沖縄水産高校の実習船「開洋丸」(木造、30トン)で使用されていた。廃船後は校内に保管されていた。昨年10月、同校が生徒らの教材として活用することなどを目的に沖縄舶用工業会に修理を依頼し、同会がボランティアで作業を進めていた。

 エンジンの燃焼試験を実施した沖縄機械整備の社長で、沖縄舶用工業会長を務める渡眞利敏さん(65)は「苦労したが無事に動かすことができてうれしく思う。会の技術力を見せることもできた。今後は生徒の学習などで役立ててほしい」と話した。

 始動式に参加した沖縄水産高3年の宮城海人さん(18)は「実際に動くのを見たのは初めてで、とても力強く感じた」、喜瀬大志さん(18)は「最近のエンジンは出力調整なども機械化されているが、焼玉エンジンは手作業で機構を組み替えて回転数を調整する形式で、面白い」と感想を話した。