バス通学生徒の6割バイト 家計苦しく、沖縄・北農高調査 月運賃2.5万超が2割 学業や部活動への影響懸念


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県名護市の県立北部農林高校の1~2年生を対象に、琉球新報社が通学費用と負担感についてアンケートを実施したところ、バス通学者の約20%が通学費に一人当たり月2万5千円以上かかっていることが分かった。バス通学者の65・8%が通学費を捻出するためにアルバイトをしていると回答。家族の送迎や自転車通学、徒歩で通う生徒のアルバイト率(15・7%)を大きく上回った。公共交通網が脆弱(ぜいじゃく)な沖縄では、通学費捻出のため、多くの高校生がアルバイトをせざるを得ない状況に置かれていることが浮き彫りになった。

 教職員や生徒への聞き取りでは、アルバイトのために部活動に入れなかったり、練習日を制限したりする生徒が一定数おり、高校生活に影響を与えている。

 県の家計調査(今年1月)によると、家族が2人以上で勤労者のいる世帯の手取り収入は約28万7千円。通学費が2万5千円を超えている世帯は、通学費が収入の約1割を占めることになる。

 アンケートは県立北部農林高校の協力を得て、1~2年生の計373人を対象に3日に実施し、306人から回答を得た。専門学科があり、広域から通学する生徒が多いため、通学費の負担を把握しようと同校に協力を依頼した。2016年度、同校には北部を中心に11市町村から生徒が通っていた。

 通学方法を聞いたところ、バス(20人)と、バスと家族による送迎の組み合わせ(56人)を合わせたバス通学者は76人。家族の送迎・徒歩・自転車は230人だった。バス通学の生徒の56・6%が、通学費を「負担に感じている」と答えた。

 通学費の月額は5千円未満の32・9%が最多で、5千円~1万円未満は27・6%、2万5千円~3万円未満は11・8%、1万円~1万5千円未満は9・2%、3万円以上の7・9%が続いた。

 県調査では、週当たりのアルバイト日数は「3~4日」が約25%で最多だったが、北部農林は「5日」(28・7%)と「4日」(25・3%)の割合が多かった。

 知名朝次校長は「せめて通学費が半額ぐらいで済めばありがたい。利用しやすい交通網の整備も大切。社会全体で生徒たちの教育環境の整備と、学びの保障を考えてほしい」と要望した。
(高江洲洋子)