「おきなわ超熟成牛」普及へ 新技術開発、うまみ成分高める


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
熟成から20日経過し、毛カビで包まれた肉(沖縄エージングカンパニー、オペラ提供)

 肉を低温貯蔵させ、うま味成分などを高めた「熟成肉」の沖縄県産牛での活用を目指し、食肉加工の沖縄エージングカンパニー(うるま市、玉城幸範社長)と沖縄県工業技術センター(同市、安里厚所長)は共同で、独自の熟成技術を開発した。子牛を産み終えて肉質が硬いとされる経産牛の肉でも、熟成させることで柔らかさが増し、風味や味わいが高まることで通常より3割程度の高値で販売できるという。新技術で熟成させた県産和牛を「おきなわブランド超熟成牛」として普及を図る。

 熟成肉は、冷凍させずに温度や湿度を調整した環境で肉を寝かせ、微生物が生成する酵素を使ってタンパク質をうま味成分のアミノ酸に変える技術。ただ、従来の熟成法では熟成過程でさまざまな菌が繁殖し、風味などの品質や安全性への懸念もあった。

 今回確立した熟成法は、熟成に関与する菌だけを特定して純粋培養することで安全性を高め、異臭や不快な味が出るといった品質のばらつきを抑えた。熟成後はアミノ酸が4倍、柔らかさが40%増える。熟成過程も見直して従来は30~50日を要する期間を20日間に短縮し、生産性を高めた。

 熟成肉の技術は、脂の少ない赤身肉の消費が主流の欧米で発達した。霜降りの肉が人気の日本でも、健康志向の高まりでカロリーの低い赤身の肉をおいしく食べられる技術として近年注目を集めている。

 沖縄エージングカンパニーと販売のオペラ(那覇市、小浜耕弥社長)が県内の複数ルートから牛肉を調達し、「超熟成牛」として加工して飲食店などに販売する。4月の販売開始時は月1トン程度を取り扱い、3年後には取引店舗200店、11トンの販売を目指す。

 29日に那覇市のロワジールホテル那覇で会見した玉城社長は「おきなわブランドの熟成肉を広めたい」と語った。飲食店関係者を招いた試食会もあり、県内で居酒屋などを展開するカイコーポレーションの伊藤智統括は「香りがよく、ワインなどと食べると味が引き立つと思う」と期待した。