琉球人遺骨 返還へ行動 研究者ら新組織設立へ


この記事を書いた人 琉球新報社
人類学者らによって複数の遺骨が持ち出され、戻されていない百按司墓=今帰仁村運天

 人類学の研究者らによって戦前、今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から琉球人の遺骨少なくとも26体が持ち出され、京都大学などに75年間以上保管されていた問題で、沖縄と関西の研究者が中心となって6月にも研究会が設立される。台湾の研究者とも連携し、京都大のほか、同様に遺骨を保管しているとみられる台湾の国立台湾大学に対して、情報公開と遺骨の沖縄側への返還を働き掛ける。シンポジウムなどを開き、世論を喚起する。

 研究会の中心となるのは松島泰勝龍谷大教授、冨山一郎同志社大教授、駒込武京都大教授ら。5日午後4時から、シンポジウム(同志社大学〈奄美―沖縄―琉球〉研究センター主催)を京都市の同志社大で開き、松島教授が研究会の設立を提起する。

松島泰勝氏

 松島教授は「京都大学総合博物館に遺骨の実見といくつかの質問への回答を求めたが、全て拒否された。納得できる理由も示されていない。この問題について関心のある研究者、先住民族の権利回復運動の支援者らと共にさらに議論し、次の行動につなげていきたい」と話した。

 琉球人の遺骨は1928~29年、京都帝国大学助教授だった人類学者の金関丈夫氏が持ち出したことが分かっている。今帰仁村教育委員会が2004年、百按司墓の木棺修復事業の一環で京都大学に26体が保管されていることを確認した。同教委の報告書によると国立台湾大学にも33体が保管されている。
 (宮城隆尋)

英文へ→Researchers to establish a new association to request return of Ryukyuan remains