10代での受診も 沖縄県内のアルコール関連疾患、若い世代の実態深刻 早期発見・治療が急務


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 2016年度に県立南部医療センター・子ども医療センター救命救急センターをアルコール関連疾患で受診した159人を年齢別に見ると、最も多かったのが50代の43人で、40代は37人、60代30人、30代22人と続いた。最も低い年齢は13歳だった。同センターによると、30代、40代の若い世代での肝硬変が目立つという。梅村武寛救命救急センター長は「10代の早いうちから飲んでいなければ、この年齢でここまで悪くはならない」と厳しい表情を浮かべる。

 159人が受診した392例は、救急車による救急搬送と直接来院する場合とがあった。夜間、飲酒後に容体が悪くなり受診しているとみられる。意識障害や重症外傷など緊急性の高い症例以外にも、中には救急搬送だと優先的に診療してもらえると認識して、119番通報をする患者も見受けられるという。

 複数回受診者の中には、同センターが精神科医につなげたとしても、一般外来への通院が途絶え、再び酩酊(めいてい)して同センターに救急搬送されたり、知人に付き添われて来院したりする人もいた。

 琉球病院臨床研究部研究員の福田貴博医師は「救急の現場が飲酒の問題を抱える患者の早期発見の場になり得る」と指摘する。

 精神科医、内科医、救急に携わる医師が連携して患者を早期に治療につなげることで、救急の現場の負担感も和らぐとみる。「適切な機関につなげられるような体制を県の主導でできるといい。県が本年度中に策定を進めるアルコール健康障害対策基本法の中で、その仕組みを位置付けてほしい」と要望した。