放射性物質「取り除いた」 米軍、高江のヘリ炎上事故で回答


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 沖縄県の東村高江で不時着し、炎上した米軍CH53E大型輸送ヘリコプターの一部に放射性物質が使われていた問題で、在沖米海兵隊は現場から放射性物質を既に除去したことを明らかにした。14日までに琉球新報の取材に回答した。一方、沖縄防衛局は13日に続き14日も事故現場周辺で、放射性物質の飛散がないかどうかを調べ、人体に影響を与えるような値は観測されていないとした。 

東村高江で不時着し炎上した米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリ周辺を調べる米兵ら=14日午後2時ごろ、東村高江

 在沖米海兵隊は「復旧チームが全ての放射性材料を、適切に安全に取り除くことができた。事故現場では、すでに全ての放射性の危険は取り除かれた」とし、健康に害を及ぼすほど大量ではないとしている。

 在沖米海兵隊によると、放射性物質が使われていたのは、CH53Eヘリのインジケーター(指示器)。インジケーターは飛行中のヘリの回転翼に氷結などによる亀裂や劣化といった異常がないか検出する計器。CH53Eでは、ブレードの根元付近にそれぞれ、放射性物質のストロンチウム90が収められた容器が取り付けられ、ブレード内の圧力を検知している。

 沖縄防衛局は測定結果について「両日の測定では、一般環境中と比べても差異はない」と発表した。詳細な分析結果は出次第、情報提供するとしている。

 一方、矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授は14日午前、機体の西約300メートルの地点3カ所で放射線調査を実施した。その結果、ベータ線が平均で81ベクレル平方メートルが測定されたとした。

 矢ヶ崎名誉教授は「事故機体のストロンチウム90が飛散し、ベータ線を出していると考えられる」と述べ、風下の人に対し、マスク着用などを呼び掛けた。ただ、この調査結果について放射線関連学会の専門家は「通常の自然界の放射能レベルで、高いとは言えない。人体に影響ないと考えていいと思う」と述べた。定点的に放射線の値を観測し、数値の変動を見ていく必要があるとも指摘した。