上空飛行の禁止「明文化を」 米軍機部品落下の保育園や学校、知事が視察


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米軍機の部品が落下した屋根を指さす玉城デニー沖縄県知事(右)=29日、沖縄県宜野湾市

 沖縄県の玉城デニー知事は29日、昨年12月に米軍機の部品が相次いで落下した宜野湾市の緑ヶ丘保育園と普天間第二小学校を知事就任後、初めて視察し、園長や校長らから現状の説明を受けた。視察後、記者団に対し、同市の米軍普天間飛行場を発着する航空機の飛行経路について米軍と日本政府に「徹底的に守らせることを約束事項として明文化するべきだ」と述べ、保育園と小学校の上空を飛行させないよう取り決めを交わす考えを示した。

 また「こんなに危険なのかという状況を全国に知ってもらうため、県も手だてをしっかり講じたい」とし「国には負担軽減推進会議の早期開催を求めたい」と述べた。

 最初に訪れた保育園では神谷武宏園長が玉城氏を案内し、部品が屋根に落下した状況を説明した。神谷園長は「事故以来、いつまたこういうことが起こるのかトラウマみたいになってしまう。(普天間飛行場の)運用を停止するしか状況は変わらないが、米軍はまず飛行ルートをちゃんと守ってほしい」と訴えた。

 玉城知事と面談した園児の母親たちは「事故でけがはなかったが、心の傷は負っている」と打ち明けた。米軍は部品落下を認めておらず「保育園による自作自演」と非難する声が一部にあり、母親たちは「誹謗(ひぼう)中傷を目にすると、今でも心が痛む」と2次被害に苦しんでいることも伝えた。

 普天間第二小では、沖縄防衛局からの監視員の配置が今月解除され、教員の判断で避難行動を取るようにしている。桃原修校長は「子どもたちも避難がストレスになっている」と明かした。