沖縄と祖国重ねる 「強い権力支配、健全でない」


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辺野古を訪れて「米国の権力に支配されていると感じる」と話すイスラエル出身のダニー・ネフセタイさん(左)と妻の吉川かほるさん。手に持つのは著書「国のために死ぬのはすばらしい?」=26日、名護市辺野古

 反戦や脱原発を訴え全国で講演活動をしている元イスラエル空軍兵士で、家具職人のダニー・ネフセタイさん(61)=埼玉県=と妻の吉川かほるさん(60)が26日、新基地建設に反対する市民らが座り込む名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前を訪れた。イスラエルで軍事教育を受け、徴兵で空軍に入隊したネフセタイさんは日本で暮らして37年になる。米軍と沖縄の関係と祖国とパレスチナとの関係を重ね、「すごく強い権力に支配される関係は健全ではない」と語った。

 ユダヤ人のネフセタイさんはイスラエルで生まれ、「国のために死ぬのはすばらしい」という愛国心教育を受けてきた。徴兵制により1975~78年の3年間、空軍で訓練を受けた。退役後の79年、観光で訪れた日本で吉川さんと出会い、結婚して日本で暮らしている。

 ネフセタイさんは2011年の東日本大震災の原発事故を受け、「原発も軍需産業も、共通点は一部の利益と多数の犠牲だ」との意識を強く持つようになった。
「原発とめよう秩父人」を立ち上げ、反原発のイベントを企画・運営する。一方、年間80回以上、各地で講演を行っている。16年12月、戦争を続ける祖国イスラエルと、原発から抜け出せない日本を重ね合わせて平和を問い掛ける著書「国のために死ぬのはすばらしい?」を高文研から出版した。

 10月の初来県に続き2度目となった今回の訪問では妻の吉川さんと新基地建設が行われている辺野古や中南部の戦跡を巡った。

 映画などで知っていた新基地反対運動を今回、現場で目の当たりにした吉川さんは「(ゲート前で)60、70代の人たちが頑張っている姿を見て涙が出てきた」と語った。ネフセタイさんは「沖縄は自分たちの土地の大部分に、他国の軍隊がある。イスラエル軍はパレスチナでやりたい放題で、軍隊の力や都合で土地を使い続けることは沖縄と似ている」と指摘する。今後は「沖縄のことも日本へ、世界へ伝えていきたい」と力を込めた。 (大橋弘基)