もらえない生徒に配慮したい 県内3市が卒業式の贈り物「自粛」を通知 生徒、保護者から賛否の声


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式を終え、お菓子の首飾りや花束のプレゼント受け取り笑顔で集合する生徒たち

 卒業式当日に家族や後輩などが卒業生に贈るお菓子の首飾りや花束のプレゼントの自粛を呼び掛ける学校が沖縄県内で増えている。県内11市のうち豊見城市、糸満市、南城市は市教育委員会が自粛要請を通知した。3市は「華美なプレゼントで厳粛な雰囲気が損なわれている」「もらえる生徒とそうでない生徒に差が出る」などの理由を挙げている。

 お菓子の首飾りは沖縄だけの習慣で、卒業式シーズンになるとスーパーやコンビニで販売している。しかし、個々の児童生徒によって状況が異なり不公平感を生むことや、プレゼントが年々華美になっていることから、多くの小中学校では卒業式前に在校生に呼び掛けたり卒業生の保護者に通知したりして、自粛を求めている。

 糸満市、豊見城市、南城市では市の校長会や教頭会などで「(自粛要請の)足並みをそろえたい」との声が上がり、糸満では2017年度から、豊見城と南城では18年度から通知している。文面では「児童生徒の新たな旅立ちの日を温かく見守る機会とする、という卒業式本来の在り方を大事にしたい」としている。

 自粛の動きに保護者や生徒からは賛否両方の声が上がっている。中部の中学校に通う男子生徒(14)は「先輩たちの卒業式を見てあこがれた。禁止にはしないでほしい」と訴えた。本年度卒業を迎えた那覇市の女子中学生(15)は「卒業式に来てくれた部活の先輩たちからお菓子やお花をもらえてうれしかったが、もらえていない友だちもいて少しかわいそうに感じた」と話した。

 本年度卒業生の保護者(49)は「経済的に負担ではあったが、わが子がもらえないのはかわいそうと思い、贈った。自粛要請ではなく、学校で全面禁止にしてもらえたら不公平感もなくなり、いいのかもしれない」と語った。