協議99回 教科書に「集団自決」の軍命記述回復求め 2007年から活動を続ける「9・29県民大会決議を実現させる会」


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沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)の軍命記述回復に向けて意見を出し合う「9・29県民大会決議を実現させる会」の玉寄哲永さん(左から2人目)ら=27日、那覇市古島の教育福祉会館

 「9・29県民大会決議を実現させる会」は27日、第99回の協議会を沖縄県那覇市の教育福祉会館で開いた。沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)の軍命に関する記述が教科書から削除されたことに抗議し、検定意見の撤回を求め11万人(主催者発表)が参加した2007年の県民大会後、実行委員会の主要構成団体は「実現させる会」として、教科書の文案を考えるなど地道に活動を続けてきた。節目の第100回を来月に控え、会のメンバーは再度、問題意識を県民全体で共有する必要性を訴えている。

 07年の県民大会後、実行委員会は解散せず、記述回復に向けて活動を継続することを確認した。「実現させる会」に活動が移った後も定期的に協議会を開催し、東京要請行動を続けた。県経済が米軍基地に依存しているという事実誤認の記述がされた際も訂正を要求。沖縄に関するあらゆる記述をチェックする役割も果たしている。

 会のブレーンとして協議会に参加している高嶋伸欣琉球大名誉教授は「継続して活動しているため、国や教科書会社も無視できない存在になっている」と意義を強調する。だが「軍命の存在は断定できないが、推認できる」との最高裁判決が確定し、文部科学省が最高裁判例を踏まえるよう検定基準を改訂した後も、記述は回復していない。

 会の活動を引っ張る玉寄哲永さん(84)は「高校で講話しても、座間味・渡嘉敷の集団自決を知っているのは渡嘉敷出身者だけだった。輪を広げる力、結集する力が欲しい。活動を広げていこう」と訴えた。

 第100回となる次回は記者会見を開き、これまでの活動を報告するとともに、記述回復に向けて再び結束することを県民に呼び掛ける予定だ。