陸自、宮古・与那国に情報保全隊 専門家「住民監視も」


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 宮古島市と与那国町への陸上自衛隊配備に関し、自衛隊内外の情報を収集・整理する情報保全隊も配置されていたことが5日までに分かった。情報公開請求で組織図を明らかにした軍事評論家の小西誠氏は「住民を調査・監視し、島嶼(とうしょ)戦争の対スパイ戦の任務に当たることが想定される」と指摘している。情報保全隊は2007年に自衛隊のイラク派遣反対の活動をした団体・個人を監視し、問題となった。

 防衛省によると、宮古島と与那国島に配置された情報保全隊はそれぞれ数人程度。県内の自衛隊増強と連動して警備隊とミサイル部隊が発足した鹿児島県奄美市の駐屯地にも情報保全隊が配置された。石垣市で建設中の駐屯地にも完成後、配置される可能性がある。

 県内ではすでに陸海空の情報保全隊が配置され、那覇市を拠点に活動している。南西方面での防衛力強化に向けた離島への陸自配備でさらに活動が拡大することになる。

 宮古島や与那国島への部隊配備に当たって政府は事前に情報保全隊を配置する計画は説明していなかった。防衛省の担当者は情報保全隊について「重要文書や情報の保管など内部管理の部隊で、北海道から沖縄まで配置されている。与那国や宮古島への配置が特別というわけではない」と説明した。

 宮古島駐屯地は今年3月に警備隊380人で開設された。20年以降、ミサイル部隊も配備され計700~800人規模になる計画だ。先立って与那国島には16年から160人規模の沿岸監視隊が駐屯している。

 (明真南斗)

 ◆情報保全隊 防衛機密の保護や情報漏えい防止など情報保全業務に従事する部隊。防衛省は自衛隊の情報保全のため、必要な資料や情報を収集・整理・配布すると定めている。実際には国民監視もしていた実態が明らかになっている。陸海空の3自衛隊がそれぞれ設置していたが、2009年に防衛相直轄で統合した。県内では那覇市を拠点に陸海空の情報保全隊が配置されている。