来月にも「辺野古」埋め立て申請 首相訪米前で検討


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 政府が、2月で調整する安倍晋三首相の米国訪問に先立ち、同月中にも米軍普天間飛行場の県内移設に向けた辺野古の公有水面埋め立てを仲井真弘多知事に申請する方向で検討していることが10日、分かった。

政府関係者が明らかにした。首相は普天間問題の停滞を民主党政権による外交失政と批判しており、移設手続きを進めることで問題解決への取り組み姿勢をオバマ米政権にアピールしたい考え。
 米軍輸送機オスプレイ配備問題や、相次ぐ米兵事件で沖縄側の反米感情は高まっている。地元の理解が得られないまま申請に踏み切れば、沖縄側が反発を強めるのは必至で、基地問題がかえってこじれる可能性もある。
 首相に先立ち、岸田文雄外相が、今月18日から訪米しクリントン国務長官と会談する。首相は岸田氏の帰国後、米側の意向を踏まえ、申請時期を最終判断する方針だ。
 申請後は公有水面埋立法に基づき、埋め立て許可権限を持つ仲井真知事が埋め立ての可否を判断する。現時点で知事は県外移設を求める姿勢を堅持し、稲嶺進名護市長も県外移設を主張している。知事は申請から1年以内をめどに結論を出す意向とされる。知事が許可しなければ、計画実現は困難となり政府は新たな対応を迫られる。
 首相は沖縄振興策の充実などで地元の理解を得たい考え。官邸主導で普天間移設を推進するため、沖縄側との窓口役の責任者を菅義偉官房長官とする方針を決めた。
 2006年に日米合意した普天間飛行場の辺野古への移設は、民主党の鳩山由紀夫元首相が打ち出した県外移設方針をめぐって迷走し足踏み状態が続いた。防衛省は昨年12月、環境影響評価(アセスメント)の補正文書を県に提出し、アセス手続きは事実上終了。政府による埋め立て申請時期が焦点となっている。

<用語>辺野古移設案
 2006年に合意された日米両政府の米軍普天間飛行場移設計画では、名護市辺野古周辺の公有水面を埋め立て、滑走路を建設する。埋め立てを認める権限は県が持ち、環境影響評価(アセスメント)法に基づく事前評価が必要。防衛省は07年の第1次安倍内閣で環境アセス手続きに着手、昨年12月、事実上手続きを終えた。実際に埋め立てるには県に申請し、知事の許可を得る必要がある。
(共同通信)