病害虫・アリモドキゾウムシ 久米島で根絶確認


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 那覇植物防疫事務所は11日、県庁で記者会見を開き、2012年6月から久米島で実施していたイモ類などの特殊病害虫・アリモドキゾウムシの駆除確認調査で、実質的に根絶を確認したと発表した。

放射線を照射して不妊化したアリモドキゾウムシを大量に放つ不妊虫放飼法による甲虫の根絶は世界初となる。事業開始から18年余を経て根絶を達成した。今後、農林水産省の省令改正などを経て、早ければ本年度内に正式に根絶を宣言する見込み。
 調査は昨年12月28日に終了した。9月中に本島から持ち込まれたサツマイモが発生源のアリモドキゾウムシが確認され、調査を延期した。
 しかし、そのサツマイモ以外からの発生はなく、その後も確認されなかったことから調査を終了した。
 今後は農水省消費安全局に報告後、植物防疫法に基づき学識経験者などで構成する公聴会の開催、パブリックコメントの募集などを実施する。それらの結果を踏まえ、アリモドキゾウムシの移動規制対象地域から同町を解除する省令改正の手続きを進める。
 今後も久米島への宿主植物の持ち込みはできないほか、同島では同じ特殊病害虫のイモゾウムシが発生しているため、熱処理などを経ない紅イモなどの県外出荷は引き続き禁止される。
 ただ、現地のイモ農家は「生産がしやすくなる」と、本島への出荷拡大に期待を寄せている。
 那覇植物防疫事務所の渡久地章男統括植物検疫官は「1994年から根絶に取り組んできた。世界初は誇れる成果だ。今後も再発防止のため県民の皆さんに協力していただきたい」と述べた。

<用語>不妊虫放飼法
 放射線を照射して不妊化した個体を大量に放つことで野生同士が交尾する機会を奪い、根絶させる方法。県内では1993年にウリミバエが根絶されたが、甲虫の根絶は世界初。

英文へ→Sweet potato weevil eradicated on Kume-jima