対戦1万回、腕磨く 県将棋界担う同郷31歳


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「1万回以上は対戦した」と語る安里光太郎さん(左)と禰保拓也さん=3月23日、沖縄市美里

 【うるま】県内の将棋大会で優勝争いを繰り広げる2人がいる。共に31歳でうるま市出身の禰保拓也七段=うるま市、会社員=と安里光太郎六段=宮古島市、県職員=は、中学校時代からの将棋仲間。練習を含め「これまで1万回以上は対戦している」と話す2人は、今では県将棋界を引っ張る存在になっている。

 出会いは中学1年のころ。具志川中で将棋が強かった安里さんは、高江洲中に禰保さんという“強者”がいることを知らされ、禰保さんの自宅へ行き勝負を挑んだ。飛車と角の「2枚落ち」というハンディをもらい対戦したが「完膚なきまでにたたきのめされた」(安里さん)。
 衝撃的な体験だったが、既に二段を保持していた禰保さんは「あまり覚えていない」とあっさり。以来、対局を重ねるようになった。
 禰保さんは高校時代に全国高校将棋選手権で県勢として初優勝。高校竜王戦でも準優勝し、その名を全国に知らしめた。現在では県内最高段位の七段だ。
 一方、大学に入って再び将棋に力を入れた安里さんもめきめきと腕を上げ、2007年の赤旗名人戦の予選では禰保さんを下して優勝。初めて県代表に選ばれた。
 安里さんは「同世代で強い拓也がいなければ、絶対将棋をやめていた。謙虚な人間性はまねたいところ」と語る。禰保さんにとって安里さんは「気を抜くと負ける相手。決断の良さは勉強させられる」存在だ。
 沖縄からはまだプロの棋士は輩出されていないという。県勢の全国での最高成績は、禰保さんが10年の赤旗名人戦で取った準優勝。「今後は全国タイトルを狙いたい」と禰保さん。安里さんは「将棋をもっともっと有名な競技にしたい」と意気込んでいる。(当山幸都)