「失敗隠さず誇れ」 はやぶさ開発・萩野さんが講演


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失敗を恐れずに挑戦し続けることの大切さを伝えるNEC宇宙システム部マネージャーの萩野慎二さん=7日、県立球陽高校

 【沖縄】県立球陽高校(大城進校長)は7日、同校創立25周年を記念して、小惑星探査機「はやぶさ」の技術開発に携わったNEC宇宙システム部マネージャーの萩野慎二さんによる講演会を体育館で開いた。

萩野さんは「失敗すれば課題が見えて教訓が分かる。失敗から学ぶことは多い」と話し、失敗を恐れず勇気を持って挑戦し続けることの大切さを訴えた。
 「はやぶさ」は、2010年6月に世界で初めて小惑星から物質を地球に持ち帰った探査機で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を中心にして開発された。
 萩野さんは「小惑星探査機『はやぶさ』未踏課題への挑戦」と題して講演。当時の先端技術を結集して開発した探査機だったが、打ち上げから地球帰還までの7年間に、エンジン停止や姿勢制御装置の故障、燃料漏れなど七つの重大危機があったことを映像を使って紹介。絶望の中でも諦めず、新たなシステムの構築や発想の転換で危機を乗り切ったと説明した。
 萩野さんは「はやぶさは運がよかったかもしれないが、運が巡ってきた時にどこまで準備できているのかが大事だ。準備をしていないと運があることにさえ気付けない」と話し、天命を待つ前に人事を尽くすことが大事だと強調。「失敗は隠すものではない。誇るものだ」と述べ、挑戦し続けることの大切さを伝えた。