車いす搭載車に改造 タイヤランド沖縄、安価な技術開発


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 自動車整備のタイヤランド沖縄(宜野湾市、高里健作代表)は、自家用車に車いすを搭載できるように改造する技術を開発した。鉄鋼材を加工したスロープに複数の穴を開けたり、厚さをできる限り薄くしたりするなどして、軽量化に成功。3月に初めて重量や強度制限がある車検に合格した。軽自動車の場合、価格は新車の福祉車両に比べ4分の1程度が目標だ。今後も改良を重ね、障がい者の利便性向上に努める。

 車いすを搭載するためには、車内に一定程度の高さが必要になる。しかし介護専用の福祉車両ではない限り、高さが足りない場合がほとんどだ。そのためタイヤランド沖縄は、車体の底部分を切り取り、新たな床を従来より車高を下げて装着する方法を考案した。
 開発には、県の2013年度事業「ライフスタイルイノベーション創出推進事業」を活用。車両の強度計算やひずみ測定ができる県工業技術センターから車検合格に向けた助言を受け、強度を保つため鈑金加工を手掛ける新垣鈑金(読谷村)と連携した。
 車検合格のためには、重量も大きな要素となる。鉄鋼材で作ったスロープは厚さ1・6ミリの薄さに加工し、さらにパンチングと言われる技術で複数の穴を開けて軽量化を図った。その結果、3月に車検を通った改造済みの軽自動車は、改造前より25キロ軽くなった。
 高里代表によれば、スロープなどが初めから装着された福祉車両は、軽自動車で新車の場合、約200万円ほど。県内ではほとんど中古車は出回らない。同社は車検代を含めた改造費用を約50万円に抑えられるよう試行錯誤している。
 13年末からは、助手席のシートがそのまま車いすになるスウェーデン製の介護装置の取り扱いも始めた。既に一般車に装着した実績もある。下半身不随や半身マヒなどの障がいを抱えるドライバーでも運転できるように自操式装置の取り付けも11年から続けている。
 高里代表は「自身のけがなど介護設備は急きょ必要になる。高額な福祉車両を購入するのは簡単ではない」と指摘。さらに「今後はスロープの傾斜をもっと緩くするなど、改良していきたい」と力を込めた。
 問い合わせはタイヤランド沖縄(電話)098(898)5732。
(長嶺真輝)

後付けで自家用車に車いすが搭載できるようになるスロープについて説明するタイヤランド沖縄の高里健作代表=5日、宜野湾市のタイヤランド沖縄
助手席のシートがそのまま車いすになる介護装置=5日、宜野湾市のタイヤランド沖縄