家族思う力強い歌声 jimama


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家族や周囲への感謝の思いを込めながら一曲一曲歌うjimama=26日、那覇市民会館大ホール

 県出身のシンガーソングライター・jimamaのライブ「家族の肖像inOKINAWA」(社会福祉法人ニライカナイ主催)が26日、那覇市民会館大ホールであった。ホール全体に響き渡るパワフルながらも心温まる歌声が幅広い世代の心をつかんだ。

 「アカリ」「想い文」はピアノの伴奏とともに伸びやかに歌う。幼少期に祖父とデイゴが見える景色をともに散歩した思い出をつづった「でいご」は突き抜けるような歌声が響き渡った。一転して軽快な「CHA―GANJYU」は観客とともに一体で手を横に振り、楽しむ。
 スライドショーでは自身の幼少期や家族の写真が流れる。ことし夏、自身も県内離島で披露宴を挙げたことを明かしたjimama。MCでマイクを持つ左手の薬指に輝く指輪を照れくさそうに見せると、観客からは拍手が送られた。その後も「街」をしっとりと歌い上げ、アップテンポの「アカバナー」「ガーリックトースト」を立て続けに歌う。
 「家族は私にとって掛け替えのない存在。養子やたとえ、血がつながっていなくても、どこにいても心配してくれるのが家族」と自身の考える家族の肖像について語った。
 沖縄を離れた時に遠く離れたふるさとへ向けて作った曲の「空へ」は迫力ある歌声の中にも温かさを感じる一曲。両親も訪れたステージで感謝の言葉を述べるなど、家族をテーマにしたライブは終盤へ向かっていく。
 力強さと繊細さなど、曲によって表情を変えるjimamaのライブ。披露宴で流れる機会も増えた「大丈夫」はピアノのイントロから静かに歌い始める。情感たっぷりに歌う姿と歌声に、涙を拭う人の姿も見られた。
 アンコールでは東日本大震災をきっかけに生まれた「優しい時代」を「みんなの明日に希望を込めて」とエールを送り、歌い上げた。「披露宴を挙げ、あらためて家族や大切な人へ感謝の思いが強くなった」―。一つの大きな経験を経たjimamaの歌声がより多くの人を魅了していく。
(大城徹郎)