首里城内の神聖巨岩から祭祀用金銭 12枚、穴なしは初


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2014年9月に首里城公園内継世門北地区の遺構から出土した厭勝銭12枚(左側)と、同時に出土した銅銭11枚=13日、県教育庁

 県教育庁は13日、同庁で会見を開き、琉球王朝時代に国家の繁栄を願う祭祀(さいし)で使用するための金銭(厭勝銭(えんしょうせん))12枚が、首里城公園内継世門北地区(未開園区域)の「赤田御門の御嶽」とみられる遺構から出土したと発表した。出土したのは2014年9月。今回は初めて、神の降臨場所を示すとされる神聖な巨岩「イビ」から発見された。

中央に穴のない金銭「無孔銭」も初めて見つかった。県教育庁はこの発見について「琉球王国時代の首里城内における祭祀の様子を知る上でも貴重な発見だ」と注目している。
 13年8月以来、同様の金銭の発見は県内5例目で、一度に出土した枚数としては最多。1984年に始まった首里城跡発掘調査の最終年度に当たる本年度調査で、14年9月26、29、30の3日間にかけて発見された。同時に出土した銅銭(洪武通寶)や陶磁器などから、金銭は15世紀中ごろから16世紀の間に埋められたと考えられる。直径はいずれも2センチ前後。
 琉球大学法文学部の池田栄史教授(考古学)は、イビからの金銭出土について「これまで発見された金銭はいずれも祭祀が行われていた場所にあった。(お金を埋めて)国家の安泰を願った人々の気持ちが分かる」と指摘。無孔銭の発見については「異なった金銭の存在から違う時期に埋められたという可能性も考えられる」との見解を示した。
 県教育庁文化財課記念物班の金城亀信班長は無孔銭について「日輪を大きな一つの円で表現する、当時の太陽信仰など思想的な面を反映しているのではないか」としている。
 埋蔵文化財の収集などを行う県立埋蔵文化財センターは今回の金銭を含む本年度の首里城跡での発掘成果について、18日に現地説明会を開催する。入場無料。申し込みが必要で14日午前9時から受け付ける。150人まで。問い合わせは同センター(電話)098(835)8752。