「大ヒット盤」槙原敬之『Ｌｏｖａｂｌｅ　Ｐｅｏｐｌｅ』

一貫した温かな歌声とメッセージ

　通算２０作目。熟読したくなる歌詞、意味のある曲順、手作り感のある絵柄など、パッケージの魅力が詰まった傑作だ。

　美しいインスト曲から始まって、過ぎ去った人に感謝する２曲目の『ミタテ』から現在の伴侶へ贈る１２曲目『君への愛の唄』まで、彼らしい“ＬＯＶＥ”や“ＬＩＦＥ”が詰まっており、本作では、その境界がなくなった気がする。
　他にも、ポール・マッカートニーのカバーや、数年に１曲は必ずある音頭調、ダンスポップ調のヒット曲『Ｆａｌｌ』、さらに昭和の歌謡曲風まで多彩な楽曲に驚くが、温かな歌声とメッセージが一貫しているので安心できる。
　１３曲目の『Ａｌｏｎｅ』は、まるで『風に立つライオン』の返歌のような勇気を讃えるバラード。「困難な程向かう道が正しい証拠なんだ」という言葉に目からうろこが落ちた。
　スパニッシュギターやバグパイプなども使われ、全体に穏やかな“風”を感じる。本作を聞けば、“愛すべき人々”の存在にもっと敏感になるはず。
　（Ｂｕｐｐｕレーベル・ＤＶＤ付き初回盤３５００円＋税、通常盤３０００円＋税）＝つのはず誠
（共同通信）
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つのはず誠のプロフィル
　つのはず・まこと　１９６８年生まれ。総合化学会社、音楽宣伝会社勤務を経て、Ｔ２Ｕ音楽研究所設立。音楽市場分析、コンピレーションＣＤの企画・選曲などを手がける。