76%が高齢者入居拒否把握 県内賃貸住宅


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高齢を理由に入居を断られた事例

 県が市町村や高齢者関係団体に実施したアンケートで、家主が高齢を理由に賃貸住宅への入居を断った事例を「よく聞く」と「数は少ないがたまに聞く」との回答が計76・3%に上った。県住宅課は「事故の発生や自立した生活が困難になるなどの懸念から入居が敬遠されている」と指摘している。

 沖縄は持ち家率が低く、借家率が全国平均より高い半面、収入は全国を下回っている。県は今後も借家率の増加が予想されるとみており、高齢者住宅をめぐる厳しい状況が浮き彫りとなった。
 アンケートでは「たまに聞く」が60・5%、「よく聞く」は15・8%だった。那覇市や浦添市などの都市部で断られた事例が多いという。
 不動産会社へのアンケートでは「たまに聞く」が50・0%、「よく聞く」が23・5%を占めた。
 入居を断った理由で最も多いのは「連帯保証人がいない」、次いで「心身機能の低下による失火などの安全管理に不安」「孤立死への懸念」が続く。
 一人暮らしの高齢者のうち、民間賃貸住宅に住む割合は2010年で29・4%と全国平均の22・3%に比べ高い。全国では00年の22・6%から微減したのに対し、県内では同年の26・7%から2・7ポイント増えている。
 一方、県内高齢者の年間所得100万円未満の割合は全国の2倍以上に達する。300万円未満の世帯が全体の7割を占め、全国の約1・5倍となる。
 県は今後、高齢者の入居支援や家主の負担軽減を検討するほか、高齢者向けの公営住宅、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などの整備を急ぐ方針だ。