絶滅危惧種の植物から新品種の花「ちゅらら」誕生


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 沖縄美ら島財団(本部町、花城良廣理事長)は、県内に自生する絶滅寸前の植物「リュウキュウベンケイ」を使い、新品種の花卉(かき)「ちゅらら」シリーズ7品種の開発に成功した。千葉大学との共同開発で、既に2種類の品種登録を済ませている。現在、残り5品種の登録作業を進めている。今後花卉市場での販売、農家への技術普及などを計画しており、沖縄の新たなブランドとして期待が高まる。

 リュウキュウベンケイは国内で鹿児島(沖永良部島、与論島)、沖縄の両県にのみ自生が確認されている。2012年版の環境省レッドデータブックは、栽培下のみで存在する「野生絶滅」に分類しているが、沖縄美ら島財団が1999年、沖縄県内で自生を再発見した。このため県のレッドデータブックは「絶滅危惧1A類」に分類している。
 同財団によると、再発見時に生息数が極めて少なく、絶滅の恐れがあった。同財団は株を譲り受けて栽培し、株を増やすなど保存に取り組んできた。同時に種を保存するためリュウキュウベンケイを使った新品種の開発を始めた。花卉(かき)を中心に品種改良技術が優れた千葉大学に協力を依頼し、10年間に約3千回以上の交配と栽培試験を繰り返し7品種が完成した。
 ちゅららは、リュウキュウベンケイの長い茎の特徴を受け継いだ。水がなくても約1カ月間長持ちする。加えてピンクや黄色、オレンジなど多様な色合いがそろっている。7月ごろ挿し芽をすると、翌年の11月下旬から1月中旬まで出荷が可能。電照栽培で、周年出荷ができないか現在研究している。
 同財団の花城良廣理事長は「ちゅららの技術を農家に普及するだけでなく、沖縄オリジナルブランド花として広く知られるようさらに品種改良と市場調査を進めたい」と展望を述べた。
(上江洲真梨子)

リュウキュウベンケイと交配して完成した新品種「ちゅらら」シリーズ
県内でも野生絶滅が危惧されているリュウキュウベンケイ